知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(48)

Q:日本の特許権を取得しましたが、外国でも権利行使が可能でしょうか?

A:国際私法上、法の適用範囲や効力範囲を定めるに当たっては、その適用を場所的な要素によって定め、その効力を制定された領域内に限定して認めることが原則とされています。法律用語で、これを「属地主義の原則」と言います。
 具体的に、「特許権」の場合で考えると、各国の特許権は、その成立条件等に関してその国の法律で定められることとなり、また、その権利の効力はその国の領域内においてのみ認められることとなります。これは、「特許権」に限ったものではなく、その他の産業財産権、すなわち、「実用新案権」、「意匠権」、「商標権」についても同様の考え方となります。
 したがって、日本国で取得した特許権については、国内の実施行為に対してのみ権利行使が可能となります。つまり、外国において無断で第三者が、日本で特許された発明内容を実施していたとしても、日本の特許権のみをもって差止め等の権利行使を行うことはできません。
 以上のことから、外国でも保護が必要と思われる発明については、それぞれの国において、特許権の取得を行っておくことが重要となります。
 なお、外国に特許出願するためには複数の方法があります。また、国によって権利取得の審査条件が異なりますので、ある国では特許権が取得できても、別の国では取得できないといった状況も少なからず発生します。先ずは、最初に日本出願を行う場面で、将来的な外国でのビジネス展開も考慮しつつ、外国出願の方針を併せて検討しておくことが有効です。

弁理士 岡村 隆志

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