特許実務雑感43
意匠法改正の続きについて説明します。(4)創作非容易性の基準の明確化:意匠登録出願前に公然知られたもののほかに、「頒布された刊行物に記載され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等及び画像」に基づいて容易に創作できたものを含めて審査されることが明記された。よって、インターネットを通じて公知になった形態や画像等も公知意匠として審査対象となります。(5)組物の意匠の保護の拡充:組物とは同時に使用される二以上の物品(一組の飲食用具セット等)、建築物、又は画像であって省令で定めるものをいいます。よって、建築物の組物及び画像の組物の意匠登録が、組物全体としての統一感を条件として認められます。また、組物を構成する物品、建築物、画像の部分について部分意匠出願が認められます。尚、内装の意匠は、店舗、事務所内の什器(机、椅子、ソファ、棚、台、カウンター、照明等)、床、壁、天井等の装飾を想定しており、組物の意匠の例外と位置付けることもできます。(6)物品区分表の廃止、複数意匠一括出願:従前では、省令で定める物品の区分により出願することが求められていましたが、物品区分は廃止され、省令で定めるところにより意匠ごとに出願することができます。一物品、一建築物、一画像の定義は省令により定まり、複数の意匠を一出願で行うことができます。(7)手続救済規定の整備:特許法43条の2(パリ条約の例による優先権主張)等の規定準用が行われた。(8)意匠権存続期間の変更:従前では登録日から20年であったが、欧州では存続期間25年が多いことや特許法等と終期の起算点を揃えるべく、出願日より25年に改正された。(9)間接侵害の対象拡大:多機能型間接侵害行為を防止した。
弁理士 平井 善博