知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(17)

Q:一旦、特許出願した内容を、後から修正することは可能でしょうか?

A:出願書類(明細書)は、権利書となるものですから、当初から完全であることが望ましいとされています。しかし、先願主義(最も早く出願した者に権利を付与することをいいます)を採用する法の下では、出願を急ぐあまり内容に完全を期しがたい場合があり、また、審査を受けた結果、これに手を加える必要が生じる場合が少なくありません。そこで、出願時の明細書又は図面を後から補充・訂正する「補正」手続が認められています。この手続により補正された内容は、出願当初から明細書等に記載されていたものとして扱われます。一方で、「補正」は、そのような大きな効果を有するだけに、自由にこれを認めてしまうと、第三者に著しい弊害をもたらす恐れがあることから、特許法は、「補正」に対して内容・時期の面で一定の制限を設けています。例えば、内容的制限として、「出願当初の明細書または図面に記載されていない事項(新規事項)を追加してはならない」等があります。これは、先に述べました通り、補正の効果として、当初から明細書に記載されていたものとして扱われることから、出願後に新しい事項を追加されてしまうと、権利範囲が後から拡大されてしまうこととなり、法的安定性が損なわれてしまうという理由によるものです。これに違反した場合には、出願自体が拒絶されてしまいますので注意が必要です。また、時期的制限として、「拒絶理由が通知された後の補正は、指定された期間内で行わなければならない」等があります。したがって、それらの制限にさえ留意すれば、より完全で強力な権利を取得しようとした場合に、「補正」は有効な手段になり得るといえるでしょう。

弁理士 岡村 隆志

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