知財関連コラム

ビジネスに役立つ商標 中国での商標保護(2)

 中国における商標制度について、注意しなくてはならないことがいくつかあります。
 まず、日本では何らかの拒絶理由がある場合には拒絶理由通知が特許庁から届き、意見書の提出機会が与えられますが、中国の商標実務では拒絶理由通知が無く、いきなり拒絶査定になります。拒絶査定に対しては、拒絶査定不服審判を請求せざるを得ませんので、審判費用と時間がかかることになります。
 中国において、先登録の類似商標が存在することを理由に拒絶査定となった場合には、先登録の商標権者の同意を得れば登録が認められることがあります。同意書は、拒絶査定不服審判中に提出します。なお、このような同意書制度(コンセント制度ともいいます)は日本では認められておりません。
 また、先登録の商標権が少なくとも三年間不使用であれば、三年不使用取消審判によって取り消してしまう方策もよく用いられます。しかし、一昨年より、拒絶査定不服審判の審理期間が短縮化され、拒絶査定不服審判と三年不使用取消審判を同じ時期に請求した場合、三年不使用取消審判の結論が出る前(つまり先登録商標が取り消される前)に拒絶査定不服審判の結論が出てしまい、拒絶の結論が維持されてしまうようになってしまいました。
 したがいまして、中国での商標出願時に、先登録の類似商標が存在する場合には、なるべく早く三年不使用取消審判を請求して先登録の商標権を取り消してしまうことが必要です。

弁理士 傳田 正彦

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