知財Q&Aコーナー(6)
Q:既に特許出願をしてしまったのですが、後から改良した発明を追加することができますか?
A:基本発明の特許出願を行った後、開発を継続していく中で、改良発明が生まれてくるケースが多くありますが、その際に、最初の出願内容を手直しできないかとのご相談を受けることがあります。
先ず、特許法では、出願した内容について「補正」を行う制度が設けられています。しかしながら、「補正」が認められる範囲は、最初に出願した明細書に記載された範囲内に限られています。そのため、後から改良した発明等のように新規の事項を、出願した後から、その明細書の中に追加するような「補正」は認められないこととなります。
そこで、そのような場合には、「国内優先権」という制度を利用する方法が考えられます。この制度によれば、後から改良した発明を追加する等の対応が可能となります。
ここで、「国内優先権制度」とは、基本的な発明を出願した後に、その発明と、後から改良を加えた発明とを包括的に1つにまとめて、新たな特許出願として提出することができる制度です。実際にこの制度を利用する出願においては、実施例の追加や、実験データの追加等を行うケースが多く見受けられます。
このように、「国内優先権制度」を利用することにより、開発の進行に沿って順次得られる技術成果に対して、漏れのない形で権利化を図り、確実に保護することが可能となります。
ただし、この制度を利用するに当たっては、最初の出願から1年以内に「優先権」主張をする出願(後の出願)を行わなければならない等の条件が定められていますので、その点は注意が必要です。
弁理士 岡村 隆志