知財関連コラム

ビジネスに役立つ商標  商標「CHANDLER」

 米国企業が米国での商標出願についてパリ条約優先権を主張して、商標「CHANDLER」を、主に野球用品を指定商品として日本に商標登録出願をし、登録となりました。
 これに対して、米国のいわゆるチャンドラーバットをもともと製造していたチャンドラー氏が異議申立をしました。異議理由としては、チャンドラー氏が製造したバットは、チャンドラーバットとしてMLBで有名選手が使用して需要者の間で広く認識されていること、そして米国ではこれらの主張が認められて本件は拒絶となっていること、また本件商標は他人の氏名の著名な略称であること、などです。
 この申立てを受けた特許庁では、次のように判断しました。いわゆるチャンドラーバットがチャンドラー氏の業務に係る商品であることを客観的に示す証拠、我が国及び外国における売上高などの販売実績、広告宣伝の方法、規模及び費用等を客観的に把握できる証拠、CHANDLERが、チャンドラー氏の名前を表すものとして、我が国及び外国の需要者の間において広く認識されているとする具体的な証拠、これらの提出が無いためチャンドラー氏が製造したバットは、チャンドラーバットとして広く認識されているとは認められない。また、これらの証拠の提出が無い事から、CHANDLERがチャンドラー氏の著名な略称であることも認められない。したがって、本件商標の登録を維持する。
 チャンドラーバットについては、野球(特にMLB)に興味のある方であれば、最近良く耳にすることと思います。しかしながら、いかに広く知られていることを主張したとしても、それが客観的に証明できる証拠が無ければ、その主張が認められない、ということになってしまいます。

弁理士 傳田 正彦

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