知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(75)

Q:特許出願を行う際に「発明の名称」はどのようにつければよいでしょうか?
A:特許出願に際して、願書に「発明の名称」を記載しますが、これについては、「発明の内容を簡明に表示するものでなければならない」との定めが政令にあります。
 その趣旨として、発明の名称には、当該出願の分類・整理・調査などを容易にするために用いられるという役割があるからです。
 したがって、発明内容が簡単にわかるように要領よく記載することが求められています。そのため、著しく長い記載は不適当です。例えば、「引き落とし金額反映信号を入力して、ICカードが適正に動作しているかの判断を行うカード適正判断手段と、対象の供給を停止する供給停止手段とを備えることを特徴とする支払装置」のような記載です。その逆に、著しく簡単な記載も不適当です。例えば、「機械」、「化学方法」のような記載です。
 ただし、「発明の名称」のつけ方次第で、特許になったりならなかったりということはありません。つまり、不適当な場合であっても、審査過程において「拒絶理由通知」が出されることは無い訳です。
 一例として、明らかに「装置」の発明であるにも関わらず、発明の名称が「方法」と記載されているようなケースであれば、審査官が職権によって訂正する場合があります。
 あるいは他の例として、「発明の名称」の欄に何も記載がされていないような場合であれば、審査官は不備の是正を求める指令(手続補正指令)を出す場合があります。
 いずれにしても、簡潔で適切な名称をつけることが大事です。
(参考文献:特許庁審査基準)

弁理士 岡村 隆志

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