知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(66)

Q:意匠権によって物品形状の保護を受けようとする際に、どのような点に注意すればよいでしょうか?
A:意匠権は、「物品」の形状を保護するもので、形状の模倣(特に、デッドコピー)の防止に効果を発揮します。
 保護を受ける際に注意すべき点は多々ありますが、先ず挙げられるのは、例えば「自動車」という物品名で出願した場合には、そこに含まれる「ハンドル」や「タイヤ」等の部品単体にまでは権利効力が及ばないという点です。あくまでも「自動車」全体で同一・類似の形状となっている場合にのみ権利行使が可能です。
 逆に、各部品の形状を保護しようと考える場合には、それぞれ「ハンドル」や「タイヤ」等といった物品名称で出願をしなければなりません。その理由としては、意匠法上、完成品であっても、構成部品であっても、いずれも「独立の一物品」として取り扱われるためです。
 また、令和元年に意匠法の大きな改正がありました。法改正前は、例えば「不動産」や「画像」等は、意匠権の保護対象の「物品」に該当しないことを理由に、意匠権による保護を受けられませんでした。一方、法改正後は、それらも意匠権の保護対象として認められることとなりました。ただし、画像であれば全て保護対象となる訳ではなく、例えば「画面に表示される壁紙等の装飾的画像」や「ゲーム等のコンテンツ画像」は法改正後においても保護対象として認められていませんので、意匠権による保護が受けられないことに注意する必要があります。
 なお、製品を保護する際は、意匠権のみではなく他の知的財産権(「特許権」、「実用新案権」、「商標権」等)を併せて取得することも重要となります。
(参考:特許庁ホームページ)

弁理士 岡村 隆志

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