知財関連コラム

ビジネスに役立つ商標 商品と小売のクロスサーチ

 商標登録出願する際には、必ずその商標を使用する商品や役務(サービス)を指定しなくてはなりません。役務の中には「小売」も存在します。「小売」も何を売るかで細かく分かれており、例えば「酒類の小売」、「被服の小売」、「自動車の小売」・・などがあります。
 特許庁の審査では、商標「ABC」が「酒類の小売」を指定されて出願された場合、「酒類の小売」の範囲で商標「ABC」の先登録が有るかどうか調べるだけでなく、商品としての「酒類」の範囲(清酒、洋酒、ビール、中国酒、薬味酒の範囲)で商標「ABC」の先登録が有るかどうか調べます。
 例えば、商標「ABC」を指定役務「酒類の小売」で出願した場合、商標「ABC」が指定商品「清酒」で先登録が存在していれば、類似の先登録商標の存在を理由に拒絶されます。
 同様に、商標「ABC」を指定商品「清酒」で出願した場合、商標「ABC」が指定役務「酒類の小売」で先登録が存在していれば、類似の先登録商標の存在を理由に拒絶されます。
 このように、特許庁の審査においては、商品を指定する場合でも小売を指定する場合でも互いをクロスサーチしますので、出願前の調査においては必ず両方を確認する必要があります。
 なお、先の例では「酒類の小売」を例に出しましたが、酒類の小売、食肉の小売、食用水産物の小売、野菜及び果実の小売・・等を1つにまとめて「飲食料品の小売」として指定することが出来ます。「飲食料品の小売」で登録されれば、飲食料品の小売も商品も幅広く他人の登録を排除できます。

弁理士 傳田 正彦

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