知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(57)

Q:特許調査の役割とはどのようなものでしょうか?

A:特許情報を調査することによって、他社権利侵害の有無・他社開発動向の把握・ 研究開発の方向決定・重複研究の防止・技術の将来予測等が可能になります。
 具体的には、
 (1)研究・開発段階→技術動向調査
 (2)設計・製造段階→他社権利調査/公知例調査
が有効となります。

 ①技術動向調査:対象技術分野における特許出願の内容を調べることにより、過去にどのような技術が存在し、今後どのような開発をして行くべきかがわかります。調査の結果、他社により既に開発されていたことがわかれば、重複して研究開発することを回避できます。また、研究テーマの“流行り、廃り”から、関連技術の方向性・他社の開発体制・製品需要の予測等を伺い知ることができ、当面の開発目標設定にも役立ちます。
 ②他社権利調査:自社開発品が他社の特許権に抵触すると、使用の差止めや損害賠償事件に発展してしまいます。これを回避するためには、製造前の設計段階において、同一または類似の技術に関して、他社が権利を有しているかどうか調査することが必要です。問題になりそうな権利があった場合には、代替技術の開発・採用、他者からの技術導入、技術提携等の方策を検討します。
 ③公知例調査:自社にとって障害となり得る他社の特許権が存在する場合に、その権利を無効にするために、当該特許の出願前に公知となっている資料を調査します。審査官が発見できなかった特許文献・雑誌・カタログ等が対象となります。発見された資料に基づいて無効審判の請求をすることで、他社権利の消滅を図ります。
 実際に調査をする際は、特許庁ホームページからもリンクされている「J-PlatPat」が無料で利用できます。

弁理士 岡村 隆志

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