知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(38)

Q:発明した技術に欠点があることがわかったのですが、それでも特許を取得することはできるでしょうか?

A:発明が特許として認められるためには、新しい技術によって、これまでにない顕著な効果が奏されることが基本的な条件として求められます。
 しかしながら、新しい技術には往々にして欠点が含まれていることが有り得ます。以下に、具体的なケースを挙げて説明します。
 例えば、それまで特効薬のなかった病気に対して非常に良く効く薬が発明されたとします。ところが、副作用が強すぎて厚生労働省の認可を受けられないという欠点があったとします。このような発明であっても、特許を取得することはできるでしょうか?(厚生労働省における医薬品の許認可の問題とは切り離して、あくまでも特許制度における発明の特許性の問題として捉えて下さい。)
 結論からいいますと、薬効があるならば特許を認めるべきであると考えられています。その理由としては、もしそのような発明に全く特許が認められないとなると、出願や公開がされなくなり、社会の技術水準の向上が図られなくなってしまうためです。むしろ、特許を付与して、発明を公開することによって副作用を防ぐ改良発明の出現を促すほうが、特許制度に合致するということなのです。
 以上のことから、発明に欠点があったとしても、発明全体が実施不可能となってしまうほどの重大なものでない限り、特許の取得が可能な技術であると考えて良いでしょう。これは医薬品の分野に限った考え方でなく、その他の技術分野に対しても同様のことがいえます。

弁理士 岡村 隆志

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