知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(25)

Q:技術開発の成果を会社のホームページ上で紹介したいのですが、特許取得の観点から注意すべき点を教えて下さい。

A:特許を取得するためには、発明が「公知」になっていないことが要件であることはご存知の通りですが、従前は、審査の段階において、出願された発明がインターネットを通じ、ホームページ上で開示されたものであることを審査官が発見したとしても、当該技術情報に対して、出願前に公衆がアクセスした事実を立証することが困難であったため、そのような開示のみをもって「公知」であるとする拒絶理由を通知できない状況がありました。
 しかし、インターネット上で開示されている技術情報は、雑誌・図書等の刊行物と同等の情報量を有し、その利便性により既に産業界の技術水準を構成していることから、現行の制度では、刊行物に掲載された発明の取扱いと同様に、実際に何者かが知った事実を証明せずとも、公然に知られ得る状態、すなわち、インターネット上に掲載された日を証明するだけで、拒絶されることとなっています。
 したがって、通常のホームページのようにリンクが張られ、又は検索エンジンに登録され、かつ公衆からのアクセス制限がなされていない媒体での開示は、拒絶の対象となるので注意が必要です。ただし、リンクが全くされていないサイトである場合や、守秘義務を負った者のみへの送信等は例外となります。
 なお、インターネット上での開示は、刊行物によるものと同様に技術の進歩・研究の発展に貢献するとの観点から、出願人が所定の申請を行うことによって「公知」とは扱わないとする例外規定も設けられてはいますが、あくまでも例外的な取扱いを認めるものであって、出願日が遡るわけではないので、その点も注意が必要です。

弁理士 岡村 隆志

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