知財関連コラム

ビジネスに役立つ商標 識別性について(2)

 識別標識として使えないような識別性が無い商標は登録しないということで、以前に「普通名称」、「慣用商標」の例について説明しました。
 普通名称や慣用商標以外にも識別性が無いとして拒絶される商標として、その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴などがあります。こういった商標は、誰でも使用を欲するものであるし、誰か特定の人や企業に独占させることは好ましくないためです。
 産地、販売地というのは、要は「地名」については商標登録できないということです。現在の行政区画名である県名、市名、町名などは登録できませんし、旧国名である「信濃」、「信州」、「甲州」なども登録できません。山の名称、川の名称、湖の名称も同様に登録できません。
 ただし、これら地名等と識別性のある何らかの単語又は図形との組み合わせ、例えば「信州○○○」で「○○○」の部分に識別性があれば、登録可能性はあります。「○○○」の部分もその商品の普通名称等で識別性が無ければ、いくら組み合わせたとしてもやはり識別性無しと判断されます。
 過去の登録例では、地名単独、山の名称単独、湖の名称単独で登録になっているケースも見受けられます。しかし、現在の審査では地名単独での登録はかなりデザイン化しない限り、ほぼ無理であろうと思います。

弁理士 傳田 正彦

トップへ戻る