知財関連コラム

特許実務雑感20

 ここで実務の話を一旦休憩し、昨年(2018年)10月に欧州の特許事務所を訪問したときのエピソードをお話する。訪問国は、英国と独国である。最初に訪問したのは英国である。英国は、20193月末に予定されているブレクジットによりEUを離脱する予定でその後の法律関係がどうなるのか、非常に関心が高い国である。また、欧州で英語を母国語としているので、日本企業とはとても関係が深い。日本の羽田空港から英国ヒースロー空港まで空路12時間を要する。ヒースロー空港からロンドン市内(パディントン駅)まではヒースローエクスプレスという高速鉄道を利用すると25分ほどで到着する。弊所が欧州特許出願をする際に利用している英国事務所は創立150年という大変長い歴史があり、スタッフの数も多く若手のベテランの構成比率もよく、しかもケンブリッジ大やオックスフォード大出身等のハイレベルな技術者が多いのが特徴である。英国は米国同様親日的でありコミュニケーションが取り易いというメリットがある。近年事務所の本部はロンドン市内ではなく、近年南西部にあるブリストルにおいているケースが多い。理由はブリストルが、その昔航空機産業を中心とする製造業が栄え、現在はIT関係の企業が進出してクライアントが多いこと、不動産固定費がロンドン市内に比べて安いことがある。尚、顧客の利便性を考慮してロンドン市内にも支店を有しており、技術スタッフが何名か勤務している事務所も多い。ロンドンとブリストルのホテル事情は、同じ値段でも前者は部屋が極めて狭くシャワーのみバスタブなしであるのに対し、後者は部屋が十分広くシャワーバスタブ付きが利用でき、雲泥の差がある。いずれも部屋に冷蔵庫がないのは、文化の違いとは言え驚きであった。

弁理士 平井 善博

トップへ戻る