知財関連コラム

ビジネスに役立つ商標 自分で使うつもりが無い商標(2)

 自ら使用するつもりが無いのに商標登録出願した場合は、特許庁ではどのように審査されるでしょうか。
 前回の記事でお話した某B社のように、本来の事業範囲を超える大量の出願をするような場合は、出願人自らが使用するとは考えにくいので商標法3条1項柱書違反ということで拒絶されます。商標法3条1項柱書とは「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。」という条項であり、「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」に該当しない、という判断がなされるということです。
 さらには、例えば医療業、弁護士業など、資格が無ければ業務ができない業務範囲について、その資格が無い者(又は法人)が出願する場合も商標法3条1項柱書違反に該当します。
 また、前回某B社によって「J-ALERT」が出願されているということもお話しましたが、これに対しては上記とは別の拒絶理由もあります。
 J-ALERTは、商標法4条1項7号「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当する可能性があり、または商標法4条1項6号「国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であつて営利を目的としないもの又は公益に関する事業であつて営利を目的としないものを表示する標章であつて著名なものと同一又は類似の商標」に該当する可能性もあります。

弁理士 傳田 正彦

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