知財関連コラム

第3回 企業の秘密情報保護を如何に行うか

昨今、企業の秘密情報(以下「営業秘密」と言います)の漏洩に関する大きな事件が度々報道されています。例えば、新日本製鐵(現新日鐵住金)の鋼板製造技術が韓国の企業へ流出し、さらに、中国の企業へ流出したことで発覚した事件がありました。また、ベネッセコーポレーションの通信教育の顧客データが3000万件以流出した事件もありました。

このような事件に鑑み、国としても、不正競争防止法の改正を行うこと等によって営業秘密保護の実効性を高める対策を講じました。
ここで、不正競争防止法の平成27年改正の主だった点について簡単に触れておきます。

・「技術上の秘密(例えば生産方法)を取得した者がその秘密の使用(例えば生産)により生じた物を譲渡(例えば販売)等する行為」が不正競争行為(2条1項10号)として追加されました。

・また、技術上の秘密を使用した行為を推定して、立証責任の転換を図る規定も設けられました(5条の2)。ただし、現状の政令指定では、技術上の秘密は「生産方法」であり、使用する行為は「生産」に限定されています。

・また、差し止め請求等を行うことのできる時効が10年から20年に延長されました(15条)。

・さらに、前述の海外流出事件を踏まえ、「海外重課」が導入されました。具体的には、日本国外で使用する目的での不正競争行為に対して、罰金刑が1000万円から3000万円に引き上げられました(21条)。

・その他にも、刑事罰の強化として、未遂罪の導入、非親告罪化等が行われました(21条)。

一方、企業はハード、ソフト両面において様々な対策を講じています。しかしながら、「営業秘密」という無体の情報を扱うが故に、完璧を期すことが難しい面もあります。
特に、製造技術のような「ノウハウ」を如何に保護するかという点は、製造業の企業にとって、最重要課題の一つです。
弊所では、これまで培ったノウハウ保護の手法をご紹介できますので、ご関心のある方はご一報頂けたらと思います。

–Takashi Okamura

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