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ビジネスに役立つ商標  商標「KUBO」

 商標「KUBO」が指定商品「金属加工機械器具、鉄骨加工機械器具」で商標登録出願されたところ、特許庁の判断では「KUBO」はありふれた氏の一つである「久保」をローマ字で表したものであって、商標「KUBO」はありふれた氏を普通に用いられる方法で表したに過ぎないから商標法314号に該当するという理由で、この商標出願を拒絶しました。
 出願人は、審査官の判断を不服として拒絶査定不服審判を請求しました。出願人は、拒絶査定不服審判において、「KUBO」は「ケーユービーオー」の自然な称呼が生じ、直ちに「クボ」の称呼が生じることはないという主張や、仮に「クボ」の称呼が生じるとしても、「クボ」の称呼が生じる語は、「窪」、「凹」、「久保」など複数あるから、必ずしも特定の姓氏である「久保」のみに認識されることは無いとする主張や、出願人は「KUBO」ブランドの金属加工機械器具を長年にわたり販売し、その名前は強く取引者にブランドとして認識され、金属加工機械器具の分野で識別力が確立されており、市場での知名度と信頼性を築いていると主張をして、納入実績表を提出しました。
 特許庁ではこれらの主張を退けて、やはり商標法314号に該当するという理由で、この商標出願を拒絶しました。特許庁は、「ケーユービーオー」の自然な称呼が生じ使用されているとは認められず、「クボ」の称呼に対応する複数の語があったとしても、我が国においてありふれた姓氏の一つと認められる「久保」であることを容易に理解させるものであるといわざるを得ないと認定しました。
 このように、ありふれた苗字をアルファベット表記した場合でもなかなか登録は困難であるということが分かります。

弁理士 傳田 正彦

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