知財関連コラム

知財Q&Aコーナー(79)

Q:早期権利化の進め方について教えて下さい。
A:特許出願の場合を例に挙げると、出願した発明が有効な権利となり得るかが問題となる場合があります。具体的には、他人が似たような技術を実施している、あるいは、実施の許諾を求めてきたメーカーがあるといったケースが想定されます。
 通常、特許庁に対して審査請求を行ってから、最初の審査結果が通知されるまでは1年弱程度を要しています。しかし、その結果を待っていたのでは、権利の有効性が判明しないため、権利行使あるいは許諾の可否などが判断できないといったことにもなりかねません。
 そこで、特許庁では、「早期審査」という制度を導入し、条件を満たす出願について請求が有った場合には、2~3ヵ月程度の短期間で審査結果を通知する運用を行っています。
 なお、請求を行う際は、「早期審査に関する事情説明書」を特許庁に提出して、早期審査の対象として条件に合致している旨を説明しなければなりません。
 現在の運用において、早期審査が認められる場合は、以下の通りです。
(1)実施関連出願
(2)外国関連出願
(3)中小企業、個人、大学、公的研究機関等の出願
(4)グリーン関連出願
(5)震災復興支援関連出願
(6)アジア拠点化推進法関連出願
 ここでは、全ての場合についての詳細な説明は割愛しますが、例えば、「中小企業」にとってはその該当条件のみで請求が可能となるため、簡単且つ有効に利用できる制度となっています。
 なお、早期審査制度は、特許出願のみではなく、意匠出願や商標出願に対しても設けられています。ただし、対象となる条件は全く同じではないため、利用する際には確認を行って下さい。
(参考:特許庁ホームページ)

弁理士 岡村 隆志

トップへ戻る