知財関連コラム

ビジネスに役立つ商標  商標「やわらぎ」

 商標「やわらぎ」が、はり治療,アロマテラピーの提供,あん摩・マッサージ及び指圧等を指定役務として登録されました。
 この登録商標「やわらぎ」に対して、複数の請求人によって無効審判が請求されました。その請求の理由としては、「やわらぎ(和らぎ)」という語は、「やわらぐ(和らぐ)」の派生語として多数の国語辞典に掲載されている語であり、「柔軟になること。緊張がほぐれること。おだやかになること。また、その状態。」との意味をもち、はり治療,アロマテラピーの提供,あん摩・マッサージ及び指圧について質、効能などを意味する言葉として普通に使用されており、予防医学等の書籍において題号やキャッチコピーに使用され、レポートや論文のタイトルにも使用され、整体の役務の提供の際に効能、効果の説明や一種の宣伝文句として多く使用されていることから識別力が無い、というものです。
 これに対して、特許庁は請求人の主張を認め、登録商標を無効とする審決を出しました。
 そもそも、なぜ無効審判の請求人が無効審判を請求したかというと、登録商標の商標権者が、複数の無効審判の請求人が「やわらぎ」を使用していることに対して商標権の侵害である旨の警告書を送付したことに起因するようです。これら請求人にしてみれば、今まで、はり治療,アロマテラピーの提供,あん摩・マッサージ及び指圧等の業界で多くの者が普通に使用していた「やわらぎ」について警告を受けたので、無効審判を請求したものと考えられます。
 このように、本来であれば識別性が無く、誰でも自由に使用してもよさそうな商標が登録になってしまうケースも中にはありますので、商標使用の際には注意が必要です。

弁理士 傳田 正彦

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