知財関連コラム

ビジネスに役立つ商標  植物の品種と商標の関係

 植物の新品種を保護する法律として種苗法があります。種苗法は、新たに開発された新品種を登録することで、登録から20年又は25年の登録期間中は育成権者のみが登録品種を独占的に利用できるというものです。また、新品種の登録時にはその新品種の名称も合わせて登録します。新品種の名称(品種名)も登録期間中は育成権者のみが独占的に使用できます。登録期間終了後は、品種名として普通名称となり、誰でも自由にその品種名を使用できます。
 したがって、品種名をずっと独占したい場合や、登録期間終了後に誰でも自由に品種名を使用されては困る場合は、新品種登録時の名称として申請するのではなく、商標登録すべきこととなります。一方、既に品種名として登録されている場合には同じ名称を商標登録しようとしても、すでに品種登録されているという理由で商標登録できず、また新品種の登録期間終了後は普通名称であるという理由で登録できません。
 このため、新品種を開発して品種登録をする際には、普通名称となってもよい名称を登録しておき、併せて今後も独占使用し続けたい名称を別に考えて商標登録する必要があります。商標登録すれば10年ごとの更新を繰り返すことで半永久的なブランドとして保護することができます。
 例えば、長野県果樹試験場で新品種として開発した葡萄「クイーンルージュ」がありますが、「クイーンルージュ」は長野県の登録商標です。そして、この葡萄の品種名は「長果G11」です。したがって、長野県では「クイーンルージュ」を10年ごとの更新を繰り返すことで半永久的なブランドとして独占的に使用または適切な事業者に使用許諾することで守ることができます。

弁理士 傳田 正彦

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