知財Q&Aコーナー(76)
Q:「ビジネスモデル特許」として特許権を取得した具体例を教えて下さい。
A:時折、耳にする「ビジネスモデル特許」ですが、日本においても様々な技術分野で特許が認められています。
以前にも紹介しましたが、単に新しいビジネス方法を考えたというだけでは特許法による保護対象であるところの「発明」には該当しないため、特許権を取得することはできません。日本の審査基準では、「ビジネスモデル特許」として特許権で保護されるのは、コンピュータ・ソフトウェアによって新しいビジネス方法が実現されている場合とされています。
ここでは、「旅行」に関連する分野で、ビジネスモデル特許が認められたこれまでの例を幾つか紹介します。
(1)「ID情報利用の搭乗券発券システム」(日本航空)
国内線の搭乗予約から発券、清算までをネット上ですべて処理するシステムです。ちなみに、日本航空では法人の出張者向けに展開して営業成績を伸ばしたという実績があります。
(2)「座席予約システム」(日立製作所)
携帯電話等の情報端末を使って代金の支払いができるようにしたもので、機能を拡張した携帯端末に所定のICカードを近づけるだけで自動的に銀行口座から代金が引き落とされるシステムです。
(3)「予約・発券システム」(東芝)
座席指定券の予約管理テーブルに携帯電話を使ってアプローチし、希望の指定券を予約するもので、発券が可能な場合には、管理テーブルが予約番号を送信します。この予約番号に対応する予約情報を読み出し、所定の券売機で発券を受けるシステムです。
これらは、ほんの一例に過ぎませんので、関心のある技術分野について検索サイト(J Plat-Pat等)で調べてみて下さい。
弁理士 岡村 隆志