知財Q&Aコーナー(71)
Q:新しいデザインをいくつか考えたのですが、どのように保護すればよいでしょうか?
A:デザイン、つまり物品の外観形状については、やはり意匠権による保護がまず考えられます。
新しい製品の形状を検討していく過程においては、最終形状に至るまでに、いくつかの似通ったデザインが創出されることが少なからずあります。
その際、最終デザインのみを意匠登録出願することでももちろん足りますが、意匠権の効力範囲がそれほど広くないことを考慮すると、類似デザインについても出願をしておくことで、それらのバリエーションを広く保護することが可能となります。これが「関連意匠」と呼ばれる制度です。
令和元年に意匠法が改正される以前は、「メインとなるデザイン」(「本意匠」と言います)に類似する「バリエーションのデザイン」に対してのみ「関連意匠」としての出願が認められていました。これに対して、法改正後の現在では、「バリエーションのデザイン」に類似する「バリエーションのデザイン」に対しても(「メインとなるデザイン」からみて非類似の場合でも)「関連意匠」としての出願が認められることとなりました。
さらに、「関連意匠」の出願ができる期限も、最初に基礎となる「本意匠」を出願した日から10年間という長期にわたって認められることとなりました。
したがって、統一的なコンセプトの下で継続的にデザインの改良がなされるような商品に対しても効果的に保護することが可能になった訳です。
ちなみに、その他にも令和元年の意匠法改正においては、それまで対象ではなかった「建築物」や「建物の内装」等が保護可能となった点も特筆すべき点として挙げられます。
(参考:特許庁ホームページ)
弁理士 岡村 隆志