知財関連コラム

ビジネスに役立つ商標 白米糀の識別性

 指定商品の普通名称や、指定商品の品質、産地を表すような商標は識別性が無いとして商標登録できません。
 企業Aは、指定商品を口臭用消臭剤,動物用防臭剤,米こうじ由来のアミノ酸等の成分を含むせっけん類,歯磨き,米こうじ由来のアミノ酸等の成分を含む化粧品,香料・・として「白米糀」を出願しました。
 特許庁では、白米糀は「白米を使用したこうじ」ほどの意味合いを表すものとして一般に使用されており、「糀」の文字は、「こうじ」の漢字表記として、化粧品、せっけん類を取り扱う業界において一般に使用されている。このため、「白米糀」は、「白米を使用したこうじを原料とする商品」ほどの意味合いを容易に理解し、単に商品の品質を表示したものと認識するに過ぎないとして、この出願を拒絶しました。
 企業Aはこれを不服とし、「白米糀」の文字をインターネット検索すると、自身の商品が多数検出されるが、化粧品やせっけん等の商品について商品の性能、効能等を示すために用いられている事実は検出されない、等の反論をして拒絶査定不服審判を請求しました。
 拒絶査定不服審判において、特許庁では、「白米糀」の語は、糀の取引においては、米(白米)で作った糀の一種を指称する普通名称として慣用されている実情があると指摘し、さらにこれらの語が現実に使用されておらず一般には知られていない場合であっても、将来一般的に使用されるものであることから、これを特定人に独占させることは適切でないと判断し、「白米糀」の登録を認めませんでした。
 このように、品質や原材料表示として誰も使用していない場合であっても、識別性無しで登録できない可能性があります。

弁理士 傳田 正彦

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